研究課題/領域番号 |
02205103
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
高岸 徹 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50081336)
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研究分担者 |
河野 健司 大阪府立大学, 工学部, 助手 (90215187)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | マイクロカプセル / ポリイオンコンプレックス / pH応答性 / ポリアクリル酸 / ポリエチレンイミン / pートルエンスルホン酸 / フェニルエチレングリコ-ル |
研究概要 |
外部刺激例えばpHに応答して薬物の放出を制御できる、高度に機能化された新規なマイクロカプセルを作製した。平成2年度においては、ポリイオンコンプレックスカプセルの物質透過性のpHによる制御について調べた。ポリアクリル酸とポリエチレンイミンから、粒径6mmのポリイオンコンプレックスカプセルを作り、エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミドを用いて部分的に橋かけすることによって膜の強度を上げた。透過物質としてpートルエンスルホン酸(TSA)を用い、カプセルからの放出のpH依存性を調べた。その結果、中性付近では透過性は小さいが、酸性領域で透過性が著しく増大することがわかった。透過性の増大するpH領域がポリアクリル酸のpKaと一致することから、酸性領域においてはカルボキシル基がプロトン化され、電荷がなくなるため、ポリイオンコンプレックスが解離しち密な膜構造が壊れ、その結果TSAの透過速度が上昇するものと考えられる。種々の物質のカプセル膜透過係数のpH依存性を調べた結果、KC1やLiClのpH依存性は小さいが、TSAやフェニルエチレングリコ-ルでは大きなpH依存性を示すことがわかった。これらの無機イオンではそのサイズが細孔サイズに比べて小さいため、pHによる膜構造の変化が透過性にあまり影響をおよぼさないのに対して、TSAやフェニルエチレングリコ-ルではその分子サイズが細孔サイズと同程度であるため、膜構造の変化が透過性に大きな影響をおよぼしたものと考えられる。つぎに透過性変化の可逆性についてpH7と2.5で調べたところ、カプセル膜の透過性は外相のpHにすばやく応答して、可逆的に変化することがわかった。以上の結果から、ポリアクリル酸/ポリエチレンイミンポリイオンコンプレックスカプセルは外相のpHに応答して膜透過性を可逆的に変化させる高機能カプセルであることが明らかになった。
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