研究概要 |
本研究は表題におけるヘテロエピタキシャル成長条件を確立し,各種ヘテロ接合を形成するとともに,高効率青色発光ダイオ-ドの実現を目ざしている.まず基板としては,CuAlSe_2と格子整合性の良いGaAs(100)を,また光透過率測定用に透明なCaF_2(111)壁開面を使用した.実験は基板温度573〜873[K]においてCu及びAlの分子線強度を種々変化させて行ない,最適エピタキシャル成長条件が検討された.その結果,分子線強度比(J_<Al>/J_<Cu>)=1のとき,成長速度が0.06〜0.24[μm/hr]であれば,黄色透明なエピタキシャル膜が得られること,及びこれ以上早い成長速度では多結晶化することがRHEED回析図形から明らかになった.エピタキシャル成長膜はEPMAの結果,Cu:Al:Seの組成がほぼ期待した比の1:1:2であること,及びX線回折の結果,GaAs(100)基板面に対しC軸配向していることが知られた.エピタキシャル成長可能な成長条件の中で,良質かつ光透過率が可視光領域において70%以上の膜が成長温度723[K],成長速度0.06[μm/hr]及び(J_<Al>/J_<Cu>)=1の条件下で得られた.この膜の4.2[K]におけるフォトルミネッセンス測定により,高エネルギ-側の2.61[eV]と2.47[eV]にブロ-ドな発光が得られたが,これらの発光の起源は現在明らかでなく,今後の課題である.現在までの研究において最適と思われる上記成長条件の他,高温の873[K]あるいは低温の573[K]においてもエピタキシャル膜が得られるが,高温では成長膜面が荒れ,また低温では膜がやや茶色になり透明度が落ち,良質膜にならない.一方,分子線強度比の成長膜に及ぼす影響としては,成長温度873[K]における0.5<(J_<Al>/J_<Cu>)<1.5のとき,黄色透明なエピタキシャルが膜が得られるが,この他の強度比のときはそれらのRHEED回折図形から多結晶になることが知られた.また結晶の色はAl過剰側(J_<Al>/J_<Cu>)>1で茶色に,Cu過剰側(J_<Al>/J_<Cu>)<1で黒っぽくなることが知られた.
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