研究概要 |
2次元マルチ検出器であるCCD(Changeーcoupled Device)検出器を備えた光導波路(以下OWGと略す)ラマン分光装置を製作した。LangmuirーRlodgett累積膜や厚さ100A^^°以下の超薄膜のOWGラマンスペクトル測定用基枝として、イオン交換ガラス導波路を採用し、種々の条件下で作製した導波路の有効屈折率の測定を行って、最適条件を決めた。また、ガラス導波路上に真空蒸着法で銅フタロシアニン(厚さ10ー100A^^°)薄膜を調製してそのOWGラマンスペクトルをTEー0および1.TMー0および1モ-ドで測定し、装置が所期の感度を示すことを確かめるとともに,銅フタロシアニンの薄膜内の配向を決定した。 上記のOWGラマン分光装置を用いて,ガラス導波路上に厚さ約2000A^^°の光透過性FePO_4薄膜を作製し、その構造解折を行った。FePO_4薄膜の一端をテ-パ-状にして、ガラス導波路でのTEー0.1およびTMー0.1モ-ドの進行波を薄膜に導入する方法で、FePO_4薄膜のOWGラマンスペクトルを測定した。理論計算によると、TEー0モ-ドの光電場は主としてFePO_4薄膜とガラス導波路との界面に局在するのに対して,TEー1モ-ドの電場はFePO_4薄膜の中央部分に,また,TMーOおよび1モ-ドでは薄膜の表面部分に局在する。一方,Pー0伸縮振動に帰属されるラマン線が,TEー0モ-ドのOWGラマンスペクトルでは1063cm^<ー1>に,TEー1モ-ドでは1097cm^<ー1>に,またTMー0.1モ-ドでは1030cm^<ー1>付近に観測された。上記の電場振幅の理論計算結果を参考にすれば,Pー0伸縮振動数の相違は、リン酸基部分の構造が薄膜の各部分で大きく異なることを示唆する。現在、その詳細を検討中であるが,本研究の結果はOWGラマン分光法が薄膜の厚さを方向の構造変化を明らかにするための有力な手段であることを証明した。
|