研究概要 |
本研究は東南アジアにおけるイスラ-ムの制度化に関して,教育,政治文化,司法の各分野から接近をはかり,イスラ-ムの普遍性と東南アジア固有の問題を明らかにすることを目的とする。重点領域研究の最終年度にあたり,資料収集は引き続き,個別に九州大学比較教育文化研究施設,国立民族学博物館,東洋文化研究所などにおいて行い,整理・分析も個別に進めた。設備・備品としてパソコンを購入し,既にカ-ド化された東南アジア・イスラ-ム関係文献及び年表の入力を行った。しかし,年度後半に旅費が嵩むことになり,謝金が不足して,入力は予定通りには進まなかった。そのため,代表者・分担者のデ-タを集めて総合的な資料を作成するところまでは到達できなかった。一方で研究交流は積極的に進めることができ一定の成果が得られた。7月に都市性のK,M,U班と4班共同でイスラムの地域性に関する研究会〔東南アジア関係は「マレ-シアにおけるイスラム原理主義運動の動向」(中澤政樹)報告を含む〕,11月にはK班と合同研究会〔「東南アジア王権研究の諸問題ーイスラ-ムと非イスラ-ムの視点からー」(富沢寿勇)〕を開いた。他に7月に総括班・事務局による企画「イスラムの都市性サマ-・スク-ル」で,代表者が講師陣の一人に加わり,「インドネシアの都市とイスラ-ム教育改革」について研究成果の一端を明らかにした。12月の全体集会で分担者の富沢が先の研究会の議論をもとに報告を行い,続いて2月初めに鹿児島大学南太洋海域研究センタ-主催により,K班と共同でシンポジウム「東南アジアのイスラ-ム」を開催した。インドネシア(教育)マレ-シア(農村)フィリピン(海洋民)の軸を設定し,代表者および富沢が教育と農村に関してコメンテ-タ-を務めた。また,ポストシンポジウム「イスラ-ム世界の東南アジア」において,東南アジア研究者とイスラ-ム研究者の間で交流を持つことができた。
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