研究概要 |
種々の高感度分析手法(レ-ザ-誘起螢光法,質量分析法,原子共鳴吸収分光法)を用いて,290ー3000Kにわたる広い温度領域で炭化水素系ラジカル(CH,CH_3O,CH_3CO,CH_2CH,CH_5CH)とNOの反応速度を測定しまた反応機構の検討を行った。 更に,燃焼系におけるNOx生成と消失を支配する重要なラジカル種として,NH,N原子とNOの反応速度論的研究をも併せて実施した。CH+NOの反応過程はこれまで提唱されていたNH+COの生成経路が誤りであることが見出された。CH_3O+NOの反応過程はFallーoff領域にあり再結合安定化が主反応系路であることが確認された。 ヒドロキシ,アルキルラジカル(CH_2CH,C_2H_5OH)+NOの反応過程は生成物の同定は行えなかったが速度定内はK=(2ー3)×10^<ー11>(cm^3 molecule^<ー1> S^<ー1>)と非常に速くラジカルの種類に依存しない。 一方,NH+NOは励起一重項と基底三重項NHについてそれぞれ速度定内、反応生成物および両者間のクエンチング過程に関して詳細な検討を行った結果,励起一重項NHとNOの反応経路は50%の電子状態失活とN_2O+Hの反応で説明されること,また基底三重項NHとNOの反応は,N_2+OHの反応経路が支配的であることが見出された。 N+NO,N+H_2の反応過程は高温におけるレ-ザ-閃光分解法により初めて直接速度定内を求めることができる前者の過程は低温における測定結果と比較することにより活性化エネルギ-が殆んど存在しないこと,後者の反応過程は約35Kcal/molの活性化エネルギ-を有することが見出され,また量子化学計算結果を良い一致を示すことが見出された。
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