研究課題/領域番号 |
02212201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
八木 駿郎 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (30002132)
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研究分担者 |
酒井 彰 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (70136422)
笠原 勝 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (30001697)
木下 修一 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (10112004)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1990年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 準結晶 / フォノン / 不安定化 / 光散乱 / スペクトル / ピコ秒光パルス / 分散関係 / パルス重畳法 |
研究概要 |
本研究ではレ-ザ-光散乱法を用いて準結晶中のフォノンスペクトルを観測し、その特徴と準結晶の物質としての安定性との関連を求めることを目的とした。この研究の前半では通常のレ-ザ-光散乱の方法を改良して用いたが、以下に述べるようにスペクトルの検出は出来たが、実験上の困難な点が多く実際的な精度での観測は出来なかった。それらの困難な点を克服するために現在進行中の後半段階ではパルスレ-ザ-を光源とした新しいシステムを用いることを試みている。したがって当初計画した研究期間内の研究目標達成は完了しておらず、現在も研究は遂行中である。従ってこの報告は年度内にどこまで明らかになったかを報告するものである。試料はAlーCuーFe系の準結晶Al_<65>Cu_<20>Fe_<15>を用いた。強い弾性散乱光が準結晶中のフォノンモ-ドの光散乱スペクトルの形状に及ぼす影響、高いバックグラウンドレベルとスペクトルの歪、いかに取り除くかに努力が払われた。 まず最初に試みたのは誘電体結晶などに用いられるブリルアン散乱分光法である。この方法により室温において散乱角135°でフォノンスペクトルが観測された。著者らの知る限りにおいて、これは準結晶における光散乱スペクトルの最初の報告例である。しかしフォノン分散関係を決定するためにはスペクトルを、より迅速に高いS/N比で観測できる他の方法を検討する必要であった。そのため散乱光を分光するのではなくレ-ザ-光でフォノンを選択的に誘起し、その実時間伝播の振舞いを回折光強度を直接に測定することでフォノンスペクトルを検出する方法として、最近注目されているのが光パルス重畳法である。本研究の前段階で明らかになった困難を克服するためにこの方法を用いることにし、第二段階ではまず実験システムの建設をすることから始めた。現在その実験システムが完成し、ピコ秒レ-ザ-パルスによる準結晶試料の誘起表面音波のスペクトルをArレ-ザ-光でモニタ-する実験が進行中であり、強大な弾性散乱光のもとでの分光法について重要な実験上の知見が蓄積されつつある。
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