ハイパ-インフレ-ションを用いて、1次元準結晶の強結合電子模型のエネルギ-バンドを求めた。まず、ハイパ-インフレ-ション変換を行った時のハミルトンアンの繰込み変換を求め、エネルギ-バンドの変換を導いた。ハイパ-インフレ-ションの各段階は、一つのアプロキシマントクリスタルに対応しており、アプロキシマントクリスタルのエネルギ-バンドがカント-ルセットであることを示された。次に、セミクラシカルモデルを用いて、アプロキシマントクリスタルの電気伝導度を求めた。アプロキシマントクリスタルのユニットセルが大きくなると、ブリュアンゾ-ンが小さくなり、いわゆる負の微分電気伝導度が見られることを示すとともに、微分電気伝導度が極大となる電場の強さを求めた。さらにブロッホ振動が起こる臨界の電場の強さを求めた。 新しい形の高次元準結晶として、回転対称中心のある結晶を考案した。これは、原点から放射状に出した半直線上に射影法で得られる格子点を置き、それを基にネットワ-クを組んだものである。新しい準結晶の物理的性質の一つとして、回折パタ-ンを解析的方法、及び数値計算によって求め、これらがペンロ-ズ格子などで求まっているものと同様のものとなることを示した。この新しい準結晶が、1次元のハイパ-インフレ-ションを組み合わせたハイパ-インフレ-ションを有していることは自明であり、今後それを用いて電子状態などの研究を行う。
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