研究概要 |
プラズマ化学反応の活性物質として,電子励起あるいは振動励起した化学種は重要な位置を占めているが,その挙動についての実験デ-タの集積は遅れている。本研究では振動励起したシラン系ラジカルの挙動を調べることを目標としている。 フェニルシランを193nmの光で光分解すると,超音速自由噴流中で次のような励起化学種が観測された。 (1)電子励起種……Si( ^3P^0, ^1D^0),SiH(A,v′=0,1) (2)振動励起種……SiH_2( ^1A_1v″_2=0ー4) 振動励起SiH_2は, ^1B_1(060)← ^6A_1(0v″0)の遷移を利用したレ-ザ-誘起けい光(LIF)励起スペクトルを観測することにより検出した。v″=4までの振動励起状態がはじめて検出されたが,スペクトルの解析から,100と020の間のフェルミ共鳴の存在が見出され,対称伸縮と変角振動との間の非調和項の大きさが実験的に求められた。 SiH_2( ^1B_1(060))から ^1A_1(0v″0)への発光の強度分布を用いてフランク-コンドン因子の相対的大きさを評価し,これとLIF励起スペクトルの強度分布とから振動準位分布が求められた。生成直後のSiH_2は振動の反転分布が見られるが,約2μsで振動緩和していることが判明した。回転状態の緩和は,超音速自由噴流中で0.5μs以下で完了している。 ついで,セル条件下(フェニルシラン1mmTorr,He100mTorr)において193nm光で光分解を行った。この場合,回転緩和は0.1μs以下で起こり室温の回転温度を示す。振動緩和は3ー5μs程度で完了することが解った。現在,CH_4,C_2H_4などと振動励起SiH_2との反応速度定数を測定中である。
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