研究概要 |
本研究ではバケット型プラズマ源を用いて磁気フィルタ-による電子エネルギ-分布の空間的制御を通して反応性プラズマのパラメ-タ制御法の確立を目標としている。純粋な水素プラズマ及びアルゴンプラズマを対象に,昨年度の研究で磁気フィルタ-の前後で電子エネルギ-分布関数,電子密度,電子温度,浮遊電位等のプラズマパラメ-タが大きく変化することを示した。即ち,磁気フィルタ-により高速一次電子を含むイオン・ラジカル生成に適する高密度のプラズマ生成域と高速電子が除去された成膜に適する低電子温度の拡散プラズマ域とに2分されることを明らかにした。 本年度はメタンプラズマを対象にして,目標である磁気フィルタ-による反応性プラズマの空間的制御について検討した。以下に本年度の研究成果を要約する。 1.水素希釈およびアルゴン希釈のメタンプラズマに対しても磁気フィルタ-によるプラズマパラメ-タの空間的制御は可能である。 2.磁気フィルタ-から2cm程度離れると,2領域のプラズマともそのプラズマパラメ-タの半径方向分布の空間的一様性は極めて良い。即ち,成膜の大面積化・均一化が容易に実現できることが示された。 3.磁気フィルタ-によるプラズマ制御を介して,中性励起種・ラジカル種の空間分布の制御が可能であることが判明した。 4.磁気フィルタ-による電子エネルギ-分布制御の機構をプラズマ粒子シミュレ-ションにより解明した。電子は揺動電場Eとフィルタ-磁場BによるE×Bドリフトによって磁気フィルタ-を通過する。有限ラ-マ-半径効果により高速電子ほどドリフトが小さくなるため,低速電子のほうが磁気フィルタ-を通過しやすい。 今後はプラズマパラメ-タの制御と成膜結果との関係を解明する。
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