研究概要 |
本研究は、チトクロムPー450関連酵素の細胞内局在および発現を、生体高分子の存在を直接、目で観察可能な細胞化学的方法(免疫電子顕微鏡法とin situ hybridization法)を用いて調べることを目的として行った。 1、副腎皮質ミトコンドリア間でPー450関連酵素(adrenodoxin,adrenodoxin reductase,Pー450(SCC),Pー450(11β))の分布が、従来考えられていた様な不均一なものではなく均一なものであることを、現在大きく分けて3種存在する免疫電子顕微鏡法(preー,postー,and nonーembedding methods)の3種類全てを用いて示した。 2、adrenodoxin,Pー450(SCC)のミトコンドリア内局在密度が、副腎皮質球状帯において、束状帯・網状帯より、2〜3分の1と低いことを、ウシ、ラットにおいて示した。 3、副腎皮質ミトコンドリア内の丸く電子密度の高い顆粒中にもPー450関連酵素の局在が認められた。 4、in situ hybridization法を用いてラット副腎皮質の実質細胞の細胞質にPー450(SCC)のmRNAの発現が認められた。 5、肝臓における性特異的なPー450(雌ラット肝臓に特異的なPー450(Fー1))の細胞内局在部位と、生後発生過程を追った肝小葉内分布を免疫組織細胞化学的に調べた。Pー450(Fー1)は、凍結超薄切片を用いたprotein Aーgold法により、成熟雌ラット肝臓の滑面及び粗面小胞体、及び核の外膜にその局在が認められた。生後発生過程においてPー450(Fー1)は、新生雌ラットではほとんど存在しないが、生後3週令から中心静脈近傍のまばらな実質細胞に発現し始め、5週令〜8週令においては、中心静脈近傍の実質細胞に強い反応が認められた。又、11週令以降1年令までの雌ラットでは肝小葉内で比較的均一な局在分布が認められた。
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