研究分担者 |
水野 重樹 東北大学, 農学部, 教授 (90112903)
佐々木 龍造 京都大学, 農学部, 教授 (60077378)
鈴木 不二男 大阪大学, 医学部, 教授 (40028717)
小清水 弘一 京都大学, 農学部, 教授 (90026518)
大石 道夫 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (00126004)
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研究概要 |
高等動物の組織の多くは、未分化の幹細胞からの分化・増殖によって正常な構造と機能が維持されている。分化誘導の制御には内因性の調節諸因子が関与しているが、摂食に由来する諸因子がこれらに深く関わっている。本研究はこの点の解明を目的として行い、以下の成果を得た。 1.ラット小腸中に小腸上皮吸収細胞への分化を誘導する因子が存在することを見出したが、この分化誘導において血清中の成分が補助因子となっていること,食品由来因子がその代替になり得ることを示した。また脂肪細胞への分化に対する脂溶性ビタミン類,カロテノイドの抑制作用の機構は、LPLmRNA発現抑制と関係が深いことを明らかにした。 2.フレンド細胞の分化誘導因子(DIFーI,II,III)を見出しているが、その作用機構にチロシン残基のリン酸化が関与していることを証明し,食品成分の作用点を示した。3.軟骨細胞の増殖と分化に対するビタミンA類の作用は高濃度では抑制的であるが、低濃度(生理的濃度)では促進的であることを示した。4.赤血球前駆細胞に作用してその増殖と分化を制御するエソスロポエチン(EPO)の生合成が,無蛋白食で停止する機構を解明するために,EPOを生産する培養細胞系を確立し,EPO生合成を支配する食品由来因子を明らかにした。5.細胞分化の制御に深く関与しているDNAのメチル化を触媒するDNAメチルトランスフェラ-ゼを精製し,性質や基質特異性を明らかにするとともに,本酵素活性の発現を支配する食品由来の因子についての知見を得た。6.山菜類を主たる対象とし,これらの成分の中にクロマチンDNAの損傷及びその抑制作用,抗変異原活性を有するものなどが存在することを明らかにした。 7.化学発癌のプロモ-ションの過程を抑制する化学物質を食品原料とするもの,特に海藻類の中から見出し,単離,構造決定を行なった。
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