研究課題/領域番号 |
02218208
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植田 和光 京都大学, 農学部, 助手 (10151789)
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研究分担者 |
駒野 徹 京都大学, 農学部, 教授 (30026413)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | Pー糖蛋白質 / ビタミンD_2 / 膜輸送蛋白質 / 砒素 / 遺伝子発現 / ストレス / 食品 / 酵母 |
研究概要 |
Pー糖蛋白質は肝臓、腎臓、小腸、大腸、副腎などで発現しており、食物中の有害物の体外排出への関与、およびホルモンなどの輸送への関与が示唆されている。本研究は、Pー糖蛋白質と色々な食品成分との相互作用を明らかにすることを目的とした。酵母内で発現させたPー糖蛋白質は、リン脂質存在下ATPase活性を示したが、薬剤排出ポンプとして機能しなかった。その原因のひとつとして、Pー糖蛋白質の機能に与えるステロ-ルの影響を検討した。動物細胞の主ステロ-ルであるコレステロ-ルは影響しなかったが、酵母の膜の主ステロ-ルであるエルゴステロ-ルはPー糖蛋白質の薬剤結合能を阻害した。エルゴステ-ルから生成するビタミンD_2は、すでにPー糖蛋白質に結合することが報告されているプロゲステロンと比較し得る強い阻害活性を示した。Pー糖蛋白質は消化管中の有害物と接触する部分で発現しており、種々の毒物で誘導発現される可能性がある。そこでヒト肝癌由来の培養細胞HepG2におけるMDR1遺伝子の発現調節を検討した。MDR1RNA量は、砒素で処理することによって3倍程度上昇した。Pー糖蛋白質の合成量も3倍程度増加しており、転写活性も上昇していた。MDR1のプロモ-タ-領域を単離し、塩基配列を決定後、種々の欠失プロモ-タの砒素による誘導を検討した。砒素による発現誘導には、転写開始点上流に並んで存在する2つのストレス応答エレメントを含む60bpの領域が必須であった。以上、本年度の研究から、Pー糖蛋白質が、アドリアマイシン、コルヒチンなどの抗癌剤だけでなく、ビタミンD_2やプロゲステロンなどを輸送している可能性があること、また砒素などの有害物で誘導発現されることによって、食物中の有害物から人体を防御している可能性が示唆された。
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