研究概要 |
1.神経系タンパク質の系統的な分離法として2次元電気泳動法,2次元クロマトグラフィ-法を組み合わせる手法を開発した。この方法をウシ脳の大量系統分散システムに適用した。この方法により脳内に恒常的に存在するタンパク質群と一過性にあらわれるタンパク質群についての分析を行った。とくに後者のタンパク質群においては微量で存在するものが多い。 2.ラットの小脳をモデル実験系としてタンパク質の分布像の解析を行い,脳の発生と神経回路の形成過程などに対する関連ずけを行った。このようにして分析した結果,その一例として,出生後,一旦増加し,やがて減少するタンパク質を精製し,そのアミノ酸配列について検討し,決定した。(Vー1タンパク質) 3.このような精製タンパク質について,抗体を調製し,組織内,および細胞内における分布の測定を行った。同時に,このような分析系を用いて,このタンパク質の発育,成長,老化等との関連について検討を行っている。 4.上記の方法のもう1つの適用例として,CreuzfeldーJacob病の大脳中に存在するタンパク質の解析を行った。 5.上記のような各種のタンパク質のindexとして,過去10年分のChemicol.Abstractから脳に存在するタンパク質名を抽出し,40MBのハ-ドデイスクに収録した。約1万件の集積があったが,現在,その重複を除去するとともに,分布,抗体の有無,簡単な性質,できれば構造について,附記する予定である。 6.上記のように系統的に分取したタンパク質のうち,約40種については、1年目に購入したー85℃の凍結保存庫に保存し,ささやかながら,“Brain Protein Bank"の出発点とした。
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