研究分担者 |
高坂 新一 国立精神神経センター, 神経研究所, 部長 (50112686)
川村 光毅 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (40048286)
永井 克孝 東京大学, 医学部, 教授 (80072974)
藤沢 肇 名古屋大学, 理学部, 教授 (60079689)
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
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研究概要 |
9名の研究者が神経系発生の初期過程,すなわち神経細胞の外胚葉からの分化(岡本),マトリックス細胞からニュ-ロブラストへの分化(藤田),ニュ-ロブラストから神経細胞への成熟(小幡),神経細胞群への分化(竹市),神経組織の分子的成熟(佐武),神経細胞の初期移動(川村),神経線維の成長(永井),特異的神経経路の形成(藤沢),細胞死による神経細胞の除去と維持(高坂)を分担し,その細胞生物学的メカニズムを研究するとともに,それに関与する因子の同定,作用機序の解析を行なった。下記はいずれも本年度の新知見であり,当分野進展に寄与した。 (1)岡本はツメガエル胚の培養系で神経細胞の誘導を解析し,塩基性線維芽細胞成長因子が関与すること明らかにした。(2)藤田は初期神経組織でマトリックス細胞が分裂を終えてニュ-ロブラストに分化する場合に,アクチンの脱重合,重合とカドヘリンとの相互作用が関与することを明らかにした。(3)小幡は先に見出した神経発生関連蛋白ドレブリンを線維芽細胞に導入し発現させると,それが神経細胞様に変化することを示し,ドレブリンが神経の初期分化に関与する可能性を示した。(4)竹市は上皮型(E)カドヘリンが神経節や中枢神経核で一部の神経細胞に発現することを見出し,同種の神経細胞が集合する際の役割を示唆した。(5)佐武は神経組織における糖脂質の分化につき無脊椎動物と比較考察した。(6)永井はGQ1bガングリオシドのモノクロ-ナル抗体を作製利用して,ニュ-ロブラスト-マのGQ1b発現と神経成長の関連を示した。(7)藤沢は先に見出した網膜視蓋路特異分子A5の遺伝子を線維芽細胞に導入発現させると,そこを視神経が伸長することを示した。(8)川村は小脳プルキンエ細胞の初期移動を解析し,テナスチンの関与を見出した。(9)高坂はウシ脳から大脳皮質ニュ-ロンの生存維持因子を分離精製し,これをニュ-ロン特異性エノラ-ゼと同定した。
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