研究課題/領域番号 |
02220210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成宮 周 京都大学, 医学部, 助教授 (70144350)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 神経細胞 / 神経突起 / 低分子量GTP結合蛋白質 / rho蛋白質 / ボツリヌス酵素 / ADPリボシル化 / 脊髄神経節 / GTPase活性化蛋白(GAP) |
研究概要 |
ボツリヌスADPリボシル化酵素C_3はC及びD型ボツリヌス菌より産生される25KDaの菌体外酵素であり、低分子量GTP結合蛋白質の一つrho蛋白質を特異的にADPリボシル化する。rho蛋白質は脳を初めとする神経組織に極めて高含量に存在するがその機能は不明である。今回の研究では、この蛋白の神経細胞での役割とその機能発現の機構を明らかにするため以下の実験を行った。 1.C_3酵素を用いるrho蛋白の細胞内機能の解析 精製C_3酵素を神経由来の培養細胞、組織に添加しその効果を観察した。その結果PCー12褐色細胞腫細胞やGOTO神経芽腫細胞ではC_3添加に伴いはっきりした核小体をもつ核と大きく多角形の胞体の形成がおこり長い神経突起が誘導されることがわかった。これらの形態変化は細胞内のrho蛋白のADPリボシル化に並行した。神経突起の誘導は、また、ヒヨコ脊髄後根神経節にC_3酵素を添加したときにもみられた。以上の結果はrho蛋白質が神経細胞における分化過程に関与している可能性を示唆するものであった。また、ADPリボシル化がこの蛋白のエフェクタ-反応部位におこることより、この修飾がrho蛋白を介する情報伝達経路を活性化している可能性が示唆された。 2.rho蛋白を介する情報伝達経路の解析 生理条件下におけるrho蛋白質の情報伝達経路を明らかにするため、この蛋白のGTP総合、GTP水解活性に影響を与える因子を検索した。その結果、副腎上清中にGTP水解活性を亢進する蛋白質を検出し、これを均一にまで精製した。この蛋白(rhoーGAP)は分子量28Kの蛋白で、rho蛋白特異的にGTPaseの活性化をおこし、ras蛋白には無効であった。これはrho蛋白の活性調節因子の一つと考えられ、神経細胞分化、過程に伴う活性の変動などを検討中である。
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