研究課題/領域番号 |
02225214
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
鎌谷 直之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (00114447)
|
研究分担者 |
箱田 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70208429)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | コ-カソイド / モンゴロイド / ユダヤ人 / 進化 / 遺伝病 / 腎不全 / 尿路結石 |
研究概要 |
それぞれの人種で特に頻度の高い遺伝病がある。コ-カソイドではシスティックフィブロ-ゼ(CF)及びアンチトリプシン欠損症(AT)であり、ユダヤ人ではテイ-ザックス病(TS)、日本人ではAPRT欠損症である。このような人種に特徴的な遺伝病の遺伝子を分析することにより、人種の歴史を推測するデ-タを得られるかも知れない。そこでAPRT欠損症の遺伝子を分析し、その結果を他の人種の病因遺伝子と比較した。130対立遺伝子を正常遺伝子と比較した結果、APRT欠損遺伝子の68%を占めるAPRT ^*J遺伝子の全ては同じ突然変異遺伝子に由来することが分かり、遺伝子内、及び近傍のRFLP部位における交叉率よりその発生時期は約13年前と計算された。ところが、CF遺伝子のやはり約70%を占める△F508対立遺伝子では、発生時期はせいぜい数千年と計算され、AT対立遺伝子のPIZでは約5千年である。TSではまだ計算できるデ-タは出ていないがやはり最も多い病因対立遺伝子の頻度は約70%である。これは、日本人集団あるいは日本人を含むモンゴロイド集団が最近の10万年程の間、他の集団より、平均してかなり大きな有効な集団の大きさを持っていたことを示唆する。そのため、病因遺伝子がある程度の頻度に広がるまでに、時間を要したと考えられる。これは、コ-カソイドやユダヤ人集団がモンゴロイド集団より人類発生の地に近いところで生活してきたこと、あるいは日本人集団が大陸から隔離された島で生活して来たことによる可能性がある。さらにこの仮説は他の集団に比べ、日本人集団で、比較的重症の遺伝病がはるかに少ないこと、現在のモンゴロイドの適応戦略が他の人種よりも確率的な挙動になりがちである事などをよく説明する。以上のように、我々はそれぞれの人種に特徴的な遺伝病の遺伝子を調べることにより、それぞれの集団の歴史と適応戦略を研究するという新たな方法を見いだした。
|