研究概要 |
高温超伝導体の線材化の一つの方法と考えられる高温加工法の基礎的研究として,Y系超伝導体の高温方形挙動を調べた。変形は二つの方法,一つは普通の一軸圧縮,他の一つは側面拘束した圧縮試験で行った。これらの試料は温度が高いほどまた変形速度が遅くなると大きな変形が可能になり、930℃,1.3×10^<ー5>/Sの歪速度で変形すると50%以上の大きな変形ができた。変形後の配向性を光顕観察およびECP法による結晶方位分布観察などにより調べた。ECP法では焼結体の結晶の方位の分布は全くランダムであるが,普通の一軸圧縮でもまた側面拘束圧縮後の圧縮面の(001)極点図ではともに30°以内に大多数の結晶が分布しており,C軸配向が強いことがわかった。しかし,C面内の双晶と側面拘束角度とのずれを光顕組織の画像処理により調べると側面拘束変形した試料の方がa軸あるいはb軸方向が拘束面に平行方向により多いひん度で並んでいることが明らかになった。現在,これら圧縮後の試料のJcを調べている。一方,現在高いJcが得られているBi系超伝導体で配向性とJcとの関係を検討するため,Agシ-ス線材を作製して4.2Kおよび77Kで試料面に垂直におよび平行に磁場をかけて調べた。77Kでは0.1Tまでの磁場で試料面に平行な場合はJcは約半分に低下するが,垂直の場合はO磁場の5分の1に低下する。しかし,磁場の上げ下げによるJcのヒステリシスはほとんどない。一方,4.2Kでは1〜10Tの磁場がJcはほとんど変化せず0〜1Tの間で急激に低下し,またヒステリシスがみられた。これらの現象は粒界のweak linkと断面組識の不均一性,すなわちAgシ-ス近くの配向性の良い部分と内部の無配向性組織の混在から説明した。
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