研究課題/領域番号 |
02226206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
井口 家成 筑波大学, 物質工学系, 教授 (10011173)
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研究分担者 |
古山 正文 筑波大学, 物質工学系, 講師 (20211534)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
1990年度: 16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / トンネル効果 / ジョセフソン効果 / YBaCuO / シャピロステップ / フラウンホ-ファパタ-ン / エネルギ-ギャップ |
研究概要 |
YBaCuO酸化物高温超伝導体を用いたトンネル接合の作成研究を、その場マスク交換システムを備えた電子ビ-ム同時蒸着装置を用いて行なった。この方法は、酸化物超伝導体特有な酸素欠損、表面劣化等の問題を避けるために開発したもので、すべての接合作成プロセスを真空雰囲気を破らずに行えるのが特色である。作製した接合はYBaCuO/I/Pb薄膜接合(I:絶縁バリヤ)であり、バリヤとしては数nmのMgO人工バリヤあるいはその場酸素アニ-ルで成長させた自然バリヤを用いた。YBaCuO薄膜は三元同時蒸着法でその場堆積を行い、Tcが82ー88Kの膜が容易に得られた。接合の面積は0.2×0.2mm^2である。接合のトンネル抵抗はMgOのバリヤ厚に対し指数関数的な依存性を示し、実際トンネルプロセスにより電流が流れることが裏付けられた。接合特性の再現性は極めて良く、またMgOバリヤ厚による制御性も良かった。 接合抵抗が0.5Ω程度以上のときは、準粒子トンネリングに基づくギャップ構造が観測された。この結果からYBaCuOのエネルギ-ギャップは40meV程度となると判断される。しかし観測されたギャップ構造は幅広く、ゼロバイアスのまわりに異常コンダクタンスが存在するほか、Pbのギャップ構造がやはりゼロバイアスのまわりに出現するなど予想される構造と大きく異なることがわかった。接合抵抗が0.5Ω程度以下では、ジョセフソン電流が観測された。その大きさは50ー500μAであった。マイクロ波を照射すると接合の電流一電圧特性にシャピロステップが誘起された。また外部磁場を印加すると、ジョセフソン最大電流はフラウンホ-ファ型のパタ-ンを磁束に対して示すことが確認された。後者の結果は、トンネル接合としては世界でも初めてのものである。
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