研究概要 |
Bi系超伝導体薄膜の分子線エピタキシ-では酸化剤として純オゾンが必要とされてきたが、本研究では比較的低濃度のオゾンによっても、比較的低温でasーgrown超伝導薄膜が作製できる事を明らかにした。 {実験条件} 超高真空チャンバ-内でBi,Sr,Ca,Cuの金属を蒸着源としてクヌ-センセルより分子線を発生させ、オゾン発生装置により発生させた10%のオゾンを含んだ酸素ガスをノズルより加熱した基板に吹き付ける。基板はMgO(100)、基板温度は600〜670℃、酸素の背圧は2x10^<ー5> Torrとした。 {実験結果} 組成を変化させたasーgrown膜についてX線回折および抵抗ー温度特性の測定を行なった。回折パタ-ンから2212,2223,および2234相のc軸配向を示すピ-クが観測された。2212相については比較的シャ-プな回折パタ-ンであるが、2223,2234とCuの層数が増えるにつれピ-クの強度が減り、半値幅が増大する。 抵抗ー温度特性から2212相では、Tc onset=90K,Tc zero=61K 2223相では、Tc onset=110K,Tc zero=63K,2234相では、Tc onset=90K,Tc zero=43Kであった。 {結論} 濃度10%の稀釈オゾンでもasーgrownで超伝導性を示す薄膜を作製する事ができた。2212,2223相のTc onsetについては、ほぼX線回折に一致した結果になっているが、Tc zeroについては70K以下であり膜質の改善を要する。2234相については、これまで同時蒸着法では作製が困難とされていたが、まだ不十分であるが本実験で作製する事ができた。
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