研究概要 |
酸化物高温超伝導バルク円板に被履導線をコイルとして密着巻すると透磁率がコイル電流による磁界または外部磁界によって零(マイスナ-効果)から真空の透磁率まで可変となる非線形インダクタンス素子となることを見出し,トランジスタやICと組合せて高速応答特性をもつ磁界センサ,電流センサ,振幅変調デバイス,周波数変調デバイス,磁気スイッチングモジュ-ル等のセンサデバイスを構成した。磁心はYBa_2Cu_3O_<7ーX>,Ba_2Sr_2Ca Cu_2O_<8+y>の粉末焼結体で作製し,その磁化特性の評価は100%振幅変調磁界を印加したBHヒステリシス特性を測定して行った。また磁心のBH非線形特性(初期磁化特性)を磁束侵入モデルにより解析した。磁気センサ-デバイスの構成結果は次の通りである。 (I)磁界センサ-,電流センサ- 2磁心を用い交流電源方式(他励)と直流電源方式(自励)を構成した。前者は2磁心の各々の変圧器作用(相互誘導)が被測定磁界Hexで変調され,差動形の復調をダイオ-ドとICアンプのしゃ断周波特性で行う方式である。後者は2磁心マルチバイブレ-タブリッジ形回路であり,自励発振形ブリッジ回路と低域能動フィルタ回路より成る。いずれも77Kにおいて10^<-5>Qeの解像度を有し,励振または発振周波数を10MHz以上に設定できるので,DC〜800KHzの広帯域検出特性を有している。 (II)通信技術用変調デバイス 磁心の側面コイルと円板面スパイラルコイルとの相互インダクタンスがHexで変調されるので,振幅変調素子が構成される。数十MHz帯のAM波が得られた。単磁心マルチバイブレ-タの発振周波数がHexの印加で減少するので周波数変調素子が構成される。135MHzの励振まで行った。 (III)パルス駆動形トランジスタスイッチングモジュ-ル ロイヤ-発振器形マルチバイブレ-タにより全スイッチ時間0.4μsを実現した。
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