研究概要 |
本研究は、溶融急冷法(ガラスセラミックス法)を用いてBiーPbーSrーCaーCuーO系の超伝導ガラスセラミックファイバ-を作製し、熱処理条件と超伝導特性(臨界温度、反磁性帯磁率、臨界電流密度)との関係を明らかにすることを目的とする。得られた研究成果をまとめると次のようになる。 1.低Tc相の組成に対応するBi_2Sr_2CaCu_2O_x組成の超伝導ガラスセラミックスファイバ-の作製に初めて成功した。特に、ガラスファイバ-の段階で銀ペ-スト塗布することによって、銀被覆したガラスファイバ-の作製にも成功した。840℃,5h、空気中という一段熱処理で得られた超伝導ファイバ-の特性はTc=70Kである。 2.超伝導ファイバ-の高密度化や超伝導結晶間の粒界の弱結合を改善する目的で2段熱処理を行い、Bi_2Sr_2CaCu_2O_x超伝導ファイバ-の特性改善に成功した。一段目熱処理:500℃,10h+840℃,5h酸素中、2段目熱処理:840℃20h空気中、という2段熱処理で得られた超伝導ファイバ-の特性はTc=83K,Jc(77K,OT)=10A/cm^2である。 3.鉛を添加したBi_<2ーx>Pb_xSr_2CaCu_2O_x超伝導ファイバ-の作製に成功した。Pbを添加することによって通常の1段熱処理でも、Tc=80K以上の超伝導ファイバ-が容易に得られることがわかった。例えば、Bi_<1.6>Pb_<0.4>Sr_2CaCu_2O_x組成のガラスファイバ-を840℃,5h空気中で熱処理することによって、Tc=83K,Jc(77K,OT)=37A/cm^2の特性が得られた。 4.Bi_2Sr_2CaCu_2O_xーBi_2O_3ーPbO擬三成分系のガラスファイバ-化可能領域を明らかにした。Bi_2O_3リッチ側でガラスファイバ-が容易に引けることがわかった。Bi_<2.3>Pb_<0.6>Sr_2Ca_2Cu_3O_x組成でTc=97Kの超伝導ガラスセラミックファイバ-が得られた。走査電子顕微鏡によってファイバ-の微細構造も明らかにした。
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