研究概要 |
研究は次の2点を問題にして行った。(1)熱や物質のcross frontal exchangeに重要なストリ-マの構造と変動およびその力学の解明、(2)暖水塊内外のクロロフィル濃度の分布構造の観測、および分布の季節変動をシミュレ-トする数値モデルの開発、 (1)に関しては、黒潮続流から親潮水域にかけての混乱水域における暖水塊群に伴う暖水ストリ-マを対象にして、表面水温分布の人工衛星熱赤外画像を収集し、水平構造の時間的変化の動態、とくに発生から消滅に至る様相を把握した。また、暖水ストリ-マの鉛直構造を把握するために、1990年5月下旬から6月初めにかけて、東大海洋研究所所属の淡青丸によって、仙台湾沖の暖水塊に流入中の暖水ストリ-マの水温、塩分、流連、および、クロロフィルと栄養塩流の観測を行った。同時に釧路沖の暖水塊に伴うストリ-マについても、係留系による流速、東京と釧路間を走るカ-フェリ-による週2往復単位の表面水温、調査船による観測を含む、既往の資料を解析し、発生から消滅に至る時間スケ-ルは1〜2週間,発生の間隔は20日〜40日の程度であること、暖ストリ-マの幅は約10km,厚さは100mのオ-ダ-であるが流連は順圧性が強いことがわかった。さらに、この暖水ストリ-マの発生と変形の力学的機構を解明するために回転水槽による模型実験を行った。結果は解析中である。 (2)に関しては、1987年8月〜9月に行った三陸沖の大型暖水塊中の栄養塩とクロロフィルの分布と変動の資料,函館海洋気象台による年4回の資料を使って、1986年10月に常磐沖で発生した暖水塊(86Bと呼ぶ)の栄養塩とクロロフィルおよび水温、塩分の時間的変化図を作成するとともに,本暖水塊を円筒状の鉛直2次元モデルで近似して,鉛直循環と暖水冷水ストリ-マの輸送効果の役割の評価を試みた。
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