研究概要 |
本研究では、海洋水色研究を目的として、主にニンバス衛星デ-タの解析を行った.ニンバス衛星は海水の色パタ-ンを最もよく表現できるカラ-スキャナ-(CZCS)を搭載し、葉緑素(クロロフィル)等の海洋上層部の基礎生産量に関する情報をもたらす. 海洋衛星デ-タの解析では、海は暗いという点に留意しなければならない。人工衛星にキャッチされる太陽反射光の大部分は、地球大気散乱光(大気光)で、一般に海からの光は、可視波長域では、全光量の10%足らずである。従って水色分析を行なうには、先ず衛星デ-タから、大気光を除去し、海光成分だけを取り出さねばならない(大気補正).我々は、できる限り現実に合った地球大気ー海洋モデルを作成し、厳密な多重散乱光計算を実施して,大気補正を行う. 今回は、特に、既に提案、開発してきた多重散乱計算に基ずく大気補正手法の実用性、精度の向上を図る。我々の手法の実用性は、基となる大気モデルの正確さ、妥当性に依存する。地球大気では、散乱体として、気体分子とエアロゾルを考える。従って、大気モデルの作成において、変動の小さい気体分子に比べ、時間的、空間的変化の激しいエアロゾル粒子の決定が、一番難しい問題である。ここでは、CZCSの多色測光デ-タのうちバンド4(波長0.67um)を用いて,最適なエアロゾルタイプを決定した.この波長では、海光からの寄与が小さく、観測値は近似的にエアロゾル散乱光で決まっていると考えられるためである。得られたエアロゾルタイプを用いて大気モデルを作り、CZCS各バンドで多重散乱計算を実施して、大気補正画像及びクロロフィル濃度分布画像をを作成した.
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