研究概要 |
本研究は金属間化合物を高温構造材料として実用化する上で,最大の障害となっている室温付近の著しい脆さを克服するために,結晶構造,粒界構造,規則度,活動すべり系,ミクロ組織等の材料学的因子を設計・制御することによって金属間化合物の延性化を達成するための指針を得ることを目的として行ったもので,本年度に得られた主な結果以下のように要約される. 1.Ni_3Alにおける第三元素の置換様式とボロンの延性改善効果との関係 第三元素が固溶したNi_3Alについて,延性化に及ぼす0.5mol%ボロン添加の効果を調べた.AlとNiの両方と置換するCrを合金化したNi_3Alは化学量論組成からのずれに無関係に延性化される.ところが,Alと優先的に置換するTi,HfおよびMoを合金化したNi_3Alは,Tiの場合は高Ni側でのみ,Moの場合は化学量論組成の両側で延性化される.しかし,Hfの場合はいずれ側でも延性化しない.従来の二元系Ni_3Alの場合には,高Ni側でのみボロンの延性改善効果があるが,これと異なる挙動を示し,それゆえ固溶効果により強度が増大したNi_3Alが高い延性を持つ可能性が示された. 2.アモルファス化合金の結晶化による機械的性質の改善 Zr_<50>Co_<50ーx>Ni_x金属間化合物を液体急冷によりアモルファス化した後,高温で熱処理して結晶化させた.この手法により得られた結晶粒が微細化した金属間化合物は室温で数%の延性を示すことが明らかになった. 3.マクロアロイングによる金属間化合物の延性化の試み 軽量耐熱金属間化合物TiAlの延性化を図るにはB2構造を含有する相を分散させることが有効と考えられる.Zrの添加にB2構造の金属間化合物を得ることができた.目下,これらの金属間化合物の機械的性質を調べている.
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