研究概要 |
ビス(9ートリプチシル)X型化合物において,2つのCーX結合のまわりの回転が同期することによりもたらされる新規立体化学について,引き続き検討を行った。 1) 相関回転障壁の決定 X=CH_2,Y=F(一方のみ)の ^<19>FDNMRについては東北大学において共同研究が進行中である。X=C=O Y=Hについては,Kによる還元によってのみ,室温でもかなり寿命を持つ赤色ケチルラジカルを観測できた。そのシグナルは橋頭位に隣り合う縮合位の6個の炭素による ^<13>Cサテライトを示しており、この温度変化の測定が進行中である。 2) 絶対立体配置の決定 X=CH_2,Y=OH,CO_2Hの化合物をもとに、光学活性なグル-プを絡ぎ,X線相対法で絶対立体配置を決定する試みには引き続いて努力したが、良好な単結晶を与えるものは発見出来なかった。現在Y=OHについてジベンゾア-トキラリティ-法を適用する共同研究が進行中である。 3) ギヤ-スリップ機構 d【double arrow】l相互変換の速度論的解析には種々努力したが,HPLC用の旋光度検出器がなければ,精度などが不充分であることが解った。現在その準備が進んでいる。その比較のために種々のYについて,新たにmeso【double arrow】dlの相互変換の速度論的解析を行った。その結果極めて大きな置換基効果が観測され,これからもギヤ-スリップ機構について議論出来ることが解った。 本研究費で購入した備品類は実験室の常備品的なものばかりであるが、特に液体クロマトグラフSSCー2000E(示差屈折計付)は、分離,精製速度論的解析などに有効に使われた。
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