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シグマ電子構造の設計理論:シグマ芳香族性?

研究課題

研究課題/領域番号 02230214
研究種目

重点領域研究

配分区分補助金
研究機関岐阜大学

研究代表者

稲垣 都士  岐阜大学, 工学部, 教授 (10108061)

研究期間 (年度) 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
配分額 *注記
500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
キーワード結合角ひずみ / 小員環化合物 / 分子軌道計算
研究概要

σ電子構造設計理論の研究の一環として、さきに結合から結合へのσ電子の非局在化の二面体角依存性を研究した。本研究においてσ非局在化の結合角依存性について研究し、その角度ひずみに及ぼす効果について明らかにした。シクロプロパン(1)のひずみはその結合角から予想されるより小さいことが熱化学的なデ-タから知られている。これはσ芳香族性によるものであるという説が提案されている。本研究では1のひずみに関する異常は、ジェミナル結合間のσ電子非局在化によるものであることを、シクロブタン(2)とプロパン(3)との比較から明らかにした。また、シクロプロペン(4)のひずみが予想どおり高い原因についても同じ観点からシクロブテン(5)、プロペン(6)との比較より明らかにした。
Ab initio分子軌道計算で求めた電子構造を解析して以下の結果を得た。(a)ジェミナル非局在化量は1においては異常に少ない。このことは1のCーC結合距離が2、3に比べて短いことと符合するが、芳香族性とは相入れない。(b)この非局在化は反結合的(C_GC_TS_<GT><0)である。この点はπ電子の非局在化と本質的に異なっており、非局在化にともなって結合間の反結合性が高まることを意味する。反結合性の電子非局在化量が少ないことが、1の角度ひずみを予想より和らげていると考えられる。(c)4においては、不飽和炭素結合の関与する反結合的非局在化量は5、6に比べて減少しない。これが結合角に相応したひずみを4が持っている原因と考えられる。
2つの結合から成る系の拡張ヒュッケル計算結果は、1の非局在化量の小さいことが結合角に起因していることを強く示唆している。また、反結合性非局在化の原因は、同一原子上の混成軌道間の重なり積分は0であるのに相互作用しうるという、σ電子固有の性質にあることが示唆された。

報告書

(1件)
  • 1990 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 稲垣 都士: "Mechanism of Delocalization of σーElectrons from Bonds to Bonds.Conformationally Dependent Delocalization between Geminal Bonds in Antiperiplanar Effects" Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 1098-1104 (1990)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] 稲垣 都士: "Conformational Adaptation: A New Aspect of Substituent Effects" Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 2099-2100 (1990)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] 富岡 秀雄: "Neighboring Group Participation in Carbene Chemistry.Effects of Neighboring Carboxylate Group on Carbene Reactivities" J.Am.Chem.Soc.112. 7692-7702 (1990)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] 酒井 章吾: "Abnovmally Narrow CーMーC Angle in M(L_1)L_2 Complexes (M=Si,Al,Mg,Na;L(and L_2=CO,CN)" J.Am.Chem.Soc.112. 7961-7964 (1990)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] 石田 勝: "Application of the Orbital Mixing Rule to HeteroatomーDependent πーFacial Stereoselectivity in the DielsーAlder Reaction of σーSubstituted 1,3ーCyclopentadienes" J.Am.Chem.Soc.112. 8980-8982 (1990)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書
  • [文献書誌] 稲垣 都士: "Antibonding Delocalization of σーElectrons between Geminal Bonds and Angle Strain" J.Am.Chem.Soc.

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書

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公開日: 1990-04-01   更新日: 2016-04-21  

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