研究課題/領域番号 |
02230218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 兆 北海道大学, 理学部, 教授 (80029537)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 開殻分子クラスタ- / 磁気的相互作用 / ab initio MO / 有機イオンラジカル / 交互積層型CT錯体 / 分離積層型CT錯体 |
研究概要 |
1.有機イオンラジカル CT磁性体の成分となる高スピンイオンの設計原理を解明するために、発表論文1に示したモデル分子を検討した。まず、置換基X上に局在スピン(Sb)を、π電子系に非局在スピン(σa)分子を持つホ-ルあるいは電子を導入し、それらの分子内スピン間相互作用ー2JabσaSbを、ab initio MO法で計算した。その結果、Jabの符号は主としてスピン分極型のthroughーbond相互作用により決定されることが判明した。一方、電子供与体であるTTF誘導体にニトロニルニトロキシドなどの安定ラジカルを導入した系では、スピン非局在化型のthroughーbond相互作用が優先し、Jab値が負(反強磁性)になる場合があることが見い出された。 2.交互積層型CT錯体 TCNEを電子受容体(A)に、発表論文の1の分子1〜6を電子を電子供与体(D)にした場合のCT錯体(D^+A^ー)にラジカル基Xを導入したモデル物質系(図2のAーF)の高および低スピン状態のab initio MO計算を行い、Jacを求めた。計算結果より、分子間積層様式によっては、CT錯体系でもJacが正となり強磁性的スピン整列が可能であることが結論された。しかし、多くの分子配向ではJacが負となり、フエリ磁性体になる可能性が高いことが判明した。 3.分離積層型CT錯体 分離積層型においてJacはそれぞれ、負、正となり、伝導電子のスピン分極を媒介にして局在スピンは反強、強磁性的相互作用を持つことがわかる。従って、これらの物質系は反強、強磁性金属になりうる可能性があると結論した。さらに種々の可能性について詳細に考究した。
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