研究概要 |
本研究ではC3,C3^1ー置換基およびC8,C8^1ー位に不斉炭素を持つ光学活性なさレン錯体(1,2,3,4)を合成して、新たな不斉反応場を構築し新規不斉合成反応を開発することを試みた。なかでも不斉合成化学において最も困難な課題の一つである近傍官能基を持たないオレフィン類のエナンチオ面選択的変換反応、特に不斉エポキシ化反応について検討した 得られた結果を表に示す。これらの結果よりCー3とCー3^1置換基上の不斉とCー8とCー8^1位の不斉の相対立体配置およびCー3とCー3^1置換基上の不斉中心のコンホメ-ションが不斉誘起に影響を与えることが明らかとなった。これらの知見を基にさらに軸配位子の効果を調べたところ、検討したそれぞれの基質で金属触媒エポキシ化としてはこれまでに報告されたなかで最も高い不斉収率を達成することができた(エントリ-1と4、括弧内の値)。 以上のように的確に設計された光学活性なサレン錯体は近傍官能基を持たない基質のエナンチオ面選択的反応を有力な手段を与えることを明かにすることができた。
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