研究概要 |
陽電子消滅法による電子状態・格子欠陥の研究は、放射性同位元素からの0〜数100keVの白色陽電子をそのまま用いる方法で、バルクの分析法として非常な発展を逐げたが、本研究では、この方法を高度化して単色陽電子線を発生させ、そのエルネギ-を単色のままで可変とし、対象試料への深さの関数として、電子状態・格子欠陥分布を調べる方法とし、金属ー半導体界面の評価,界面反応過程の解明に応用した。 エネルギ-分解能0.5eV,エネルギ-可変領域0.1〜50keV(陽電子の侵入深さ0.5nm〜5μmに対応)、陽電子電流10^5e^+/secの性能を有する単色エネルギ-可変陽電子ビ-ムラインを利用して、以下の項目の研究を行った。 (1)イオン注入したSi,GaAs中の原子空孔型欠陥の深さ分布および焼鈍過程の測定,(2)Si上に形成したTiN膜,ダイアモンド膜の欠陥評価(3)Si上の酸化膜,窒化膜の応力に誘起されたCZーSi中の酸素の再配列,(4)SiをMBEでド-プしたGaAs膜中のGa空孔の生成・移動の直接測定と不純物拡散機構との関連に関する研究,(5)GaAs中のpn接合の劣化とGa空孔の生成・移動,Ga格子間原子の生成・移動の関係に関する研究,(6)硫黄処理したIIIーV化合物半導体(GaAs,GaP etc)表面の欠陥形成抑制に関する研究,(7)イオン注入によりSiをド-プしたGaAsのRTAによる活性化機構の解明,(8)イオン注入によりSeをド-プしたGaAsの活性化機構の解明,(9)normalーHEMTおよびinverted HEMT中の欠陥解析と電子の移動度の関係に関する研究,(10)MOVPEおよびMBEにより形成したZnSe膜中の欠陥解析とGaド-プとの関係,(11)MOSFET中の電場勾配の測定、等である。 以上の研究成果の一部は、既に、学術刊行誌に公表された。
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