研究概要 |
Si過剰CVDWSi_<2.6>/(100)Si系において,成膜状態ではWSi_<2.6>は非晶質であり,400℃1hの真空焼鈍によって六方晶WSi_2に結晶化し,600℃以上で正方晶WSi_2に変態する.膜中の過剰Siは結晶化の時点ですでに基板Siとの界面に析出し,1000℃での焼鈍により基板Siに対してエピタキシアル成長する. この界面への析出の駆動力として内部応力の緩和と界面エネルギ-の減少を考えて,膜応力の測定結果とシミュレ-ションの結果を対比したところ,界面への析出は応力緩和のためでなく界面エネルギ-減少のために起ったことが判明した. 薄膜中には引張り応力が存在しており,外力を加えてより大きな引張応力が薄膜中に存在するようにすると界面への析出が減少し結晶化が進行するのに対して,10^<11>dyne/cm_2オ-ダ-の大きな圧縮応力が薄膜にかかるようにすると界面でのSi析出が増加し結晶化が遅れることが判明した.これらの結果は弾性歪エネルギ-,界面エネルギ-が薄膜の組織,構造変化に対して大きな影響力を有することを示しているが,複雑で理論展開が困難である. そこで,弾性的に等方性があり,基板と膜が弾性的につながっているSiーGe/Siについて理論展開をはかり実験結果との対応を調べようとした.サンプルとしてGe濃度が5%と10%のSiーGe/(100)Siを用いた.成膜状態では転位は観察されず焼鈍によって導入されることから,ミスフィット転位の導入には速度論を適用しなければならない.また,転位の質を把握することによって界面現象は平衡論的には理論化でき,それによってGeの異常拡散等の説明が可能になると期待できる.
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