研究概要 |
1.下地Si(111)表面の平滑性 本研究では多層膜形成の下地として,Si(111)やSi(001)表面を用いるので,それら表面の平滑性を知ることが重要である。そこで,マイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折法の一応用である超高真空走査電子顕微鏡(UHVーSEM)により,下地表面のステップを直接観察する以下のような方法を考察した。(1)下地Si(111)表面の清浄化とSi(111)7×7周期のマイクロプロ-ブRHEEDによる確認。(2)下地を約250℃に保ってInを〜0.2原子層蒸着。(3)UHVーSEM観察。これにより下地Si(111)表面のステップが直接検出できることを見いだした。この方法を用いて本研究で用いたSi(111)7×7表面の平滑性を調べた結果,〜3.1A^^°のシングルステップと〜9A^^°のトリプルステップが存在し,平滑な部分の広がりは〜1μm^2程度であることが分かった。 2.In/Si(111)初期界面の構造 In/Siの多層膜形成の前段階として,In/Si(111)初期界面の構造をマイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折法を用いて調べた。In/Si(111)初期界面としては,√<3>×√<3>ーIn表面と4×1ーIn表面が存在するが,√<3>×√<3>ーIn表面の構造はかなり良く分かっている。一方,4×1ーIn表面の構造はほとんど分かっていない。4×1ーIn表面からのIn MNNオ-ジェ電子のマイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折パタ-ンを測定し,運動学解析を行うことによって,4×1ーIn表面上のIn原子配列についての情報を得た。
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