研究概要 |
本研究代表者は,物質からの散乱X線を用いた総合的イメ-ジング技術の開発を行い,X線散乱ラジオグラフィ(SR)の提案をした。このSRは,[A]投影的にみる散乱トポグラフィと[B]断展的観察法の散乱トモグラフィに分けられる。前者の散乱トポグラフィニついては,これを応用して,結晶方位の分布像を結像する方式を発明し,これを方位分布トポグラフィと称した。これについては,昨年度からの研究継続である。今年度は,主として化合物半導体の方位分布トポグラフィの開発を行い,J.Crystal Growth などに発表した。 また,現在J.Appl.Gryst.に新たな方式を提案した論文を提出中である。[B]のトモグラフィについての研究については,散乱トモグラフィ観察装置の改良と散乱トモグラフにおけるX線計数雑音の画質に及ぼす影響をコンピュ-タシミレ-ションによって調べた。散乱トモグラフィの最も大きな欠点は物質からの散乱線の強度がCTにおける透過線に比較して,大きくはないことである。しかし上記のシミレ-ションによっり,100[CPS]程度の散乱X線でもトモグラフ観察が可能という結果を得た。これについては,現在論文を準備中である。 次に完全に近い単結品からのボルマン効果X線(異常透過)を用いるCTの概念設計を行った。この設計にもとづき,再構成方式散乱トモグラフィの観察も同時に可能な装置の試作に入った。現在、60%程度の工作が終了したので,この4月より完成を目ざす。来年度中には,ボルマン効果CTの初めての観察が出来るものと考えている。
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