研究概要 |
マゼラン雲で出現した超新星SN1987Aでは、超新星爆発を導く重力崩壊において、回転が重要であったと考えるに十分な観測事実がいくつかある。その第1は、偏光度の観測より、ejecta自身がプロレ-ト又はオブレ-トに変形しており爆発自身が非球対称であったか、水素の外層が非球対称であったことになる。第2には、ミステリ-スポットの存在であるが、これは、爆発がジェット的だったことを示唆している。 本研究では、以上の観測事実に鑑み、回転重力崩壊モデルの3次元、シュミレ-ションを行った。回転重力崩壊では遠心力のためにいったんディスク状の熱い中性子星が出来るが、ニュ-トリノによる冷却のためディスクは薄くなってついには分裂すると考えられる。この分裂片の質量が、それぞれ太陽質量の0.85倍と考えるモデルを扱った。座標は、(X,Y,Z)の直交座標で、141×141×131の格子を用い、Z方向については、赤道面対称を仮定した。シュミレ-ションは回転平衡からはじめる。流体はニュ-トン的に扱うが、重力波による反作用を考慮にいれる。したがって、系はエネルギ-と角運動量を失い、合体をはじめる。最終的には、高速回転(〜周期0.6msec)の中性子星が形成されたが、重力エネルギ-と回転エネルギ-の比が0.14より大きいために、非軸対称な構造がいつまでも残った。放出された動波のエネルギ-は、静止質量の0.8%で、仮にこの現象が10MPCの距離で起ったとしても、重力波の振幅は2×10^<ー21>となり、次世代の巨大レ-ザ-干渉付けよによって検出される可能性が十分ある事がわかった。
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