研究課題/領域番号 |
02235101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
生田 和良 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
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研究分担者 |
平井 莞二 東京医科歯科大学, 難波疾患研究所, 教授 (00100991)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1990年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | ヒト免疫不全ウイルス / 持続感染機構 / 発症機構 / 不完全粒子 / 遺伝子変異 / 重感染 / レセプタ- / 細胞傷害 |
研究概要 |
HIVの感染を受けてからAIDS発症までの期間は極めて長く、この期間(AC)、HIVは活発な増殖を繰り返さず、持続感染細胞の状態で存続すると考えられる。この状態から活発なHIV増殖を起こしているAIDS発症期へ変化する機構を明らかにすることは、AIDS発症予防法を確立する為にも極めて重要な課題である。私達は、このHIV持続感染状態を反映した培養細胞系を検索し、正常リンパ球と同様に、HIV感染後死滅する細胞株としてMTー4細胞を選択した。この細胞系では、完全なHIVにより初感染を受けると死滅するが、<vif>___ー、<vpu>___ー遺伝子変異ウイルスにより初感染を受けた細胞は、一過性の細胞傷害後、一部の細胞が生き残ることを見い出した。この生き残り細胞から得られたクロ-ン細胞は、その産生HIV粒子の性状から、(1)感染性HIVを産生していないもの、(2)wildーtype HIVと同程度の速度で増殖するもの、(3)wildーtype HIVより遅く増殖するもの、の3型に分類され、いずれのHIVもMTー4に対する細胞傷害性を消失していた。この(1)型のHIVは、正常CD4陽性T細胞クロ-ンに対しても、wildーtyep HIVに比べ細胞傷害活性が低いことが確認できた。更に、不完全HIVー1粒子産生MTー4クロ-ン細胞へのHIV重感染を試み、重感染による細胞傷害が認められずに、細胞傷害活性の高いHIV粒子の産生細胞へと変化する現象を認めた。この重感染の為のレセプタ-は、HIV初感染時のCD4ーCDR2対応領域とは異なり、CDR3対応領域が主であった。以上、MTー4細胞において、HIVが持続感染するには、限られた領域の遺伝子変異を持つHIVに初感染する必要があった。このことは、無症状期のHIV感染ヒトの生体内でのHIV持続感染様式を反映していると思われる。また、これらの持続感染細胞は、CD4のCDR3対応領域をレセプタ-として重感染を受けても死滅せず、細胞傷害活性の高いHIV粒子の産生細胞に変化した。この重感染は、少なくとも一部ACからAIDS発症へ進む機構の一面を反映していると思われる。
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