研究概要 |
本研究はネコ免疫不全ウイルス(FIV)とネコの系により,Eトエイズの発症モデルを確立することを最終目標とする。本年度はFIVの遺伝子クロ-ニング,シ-クエンス,蛋白の発現を検討した。 1)FIVの遺伝子クロ-ニングと感染性遺伝子クロ-ンの作製: 我々が分離したFIV TM株の完全長と考えられる遺伝子クロ-ンを得て、制限酵素地図を作製し,アメリカで分離クロ-ニングされたア株と比較したところ,両株は大きく異っていた。またFIVのLTRの塩基配列を比較したところ,日本で分離されたFIV株とアメリカで分離された株の間には顕著な差が見られた。作出した遺伝子両側にLTR構造を取るように遺伝子組換えを行ないFIV TM株の感染性遺伝子クロ-ンを得た。このクロ-ン由来のウイルスはIn vivo,In vitroにおいて感染性を有することが示された。 2)FIV TM株の全遺伝子配列の決定とFIVのgag蛋白発現: FIV TM2株の遺伝子配列を決定し,オ-プンリ-デイングフレイム(Orf)を調ベた。その結果,gag,pol,envのorfの他にpolとenvの間の中央領域にvifに相当するorfとシステインリフチ領域を含むorfAが,またenvのすぐ下流にはアルギニンリッチ領域を含くむorfBが見られた。また、FIVのgag蛋白を大腸菌に発現させ,ELISAによる抗FIVgag抗体検出の系を確立した。 3)ネコCD4遺伝子のクロ-ニンングと発現: 完全長と思われるネコCD4遺伝子発現プラスミドを作製し,COS細胞でのトランジエントな発現を抗ネコCD4単クロ-ン性抗体で調べたところ,約13%の細胞がネコCD4陽性となり,蛍光強度も比較的強いものであった。
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