研究課題/領域番号 |
02235212
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 正彦 福島県立医科大学, 医学部・医学科・細菌学講座, 助教授 (90045740)
|
研究分担者 |
茂田 士郎 福島県立医科大学, 医学部・医学科・細菌学講座, 教授 (00045634)
馬場 昌範 福島県立医科大学, 医学部・医学科・細菌学講座, 助手 (70181039)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1990年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | 抗エイズ剤 / スクリ-ニング / アジドチミジン / HEPT誘導体 / 逆転写酵素 / 選択的治療係数 / 耐性ウィルス / 抗ウィルス化学療法 |
研究概要 |
我々はこれまで、色素法を用いた迅速かつ定量的な抗ウイルス剤のスクリ-ニングアッセイ法を開発し、それを用いて多くの薬剤の抗HIV効果の検討を行ってきた。今年度はその中で、特に将来の臨床応用が有望と考えられる薬剤を発見することが出来た。そのきっかけとなったのは、本研究の研究分担者である馬場が1987年にその抗HIVー1活性を発見したHEPTと呼ばれる核酸誘導体である。HEPTはアジドチミジン(AZT)を代表とする従来の核酸誘導体とは異なり、HIVの1型にのみ抗ウイルス効果を示し、HIVの2型を含む他のレトロウイルスには全く効果を示さないという、ユニックな薬剤である。我々はこの点に特に着目し、更に選択的抗ウイルス効果の高い物質を得るため、約200種類にのぼる種々のHEPT誘導体についてスクリ-ニングをおこなった。その結果、EーEPUとBーBPUと呼ばれる2種類の薬剤にきわめて高い抗HIVー1活性を認めた。EーEPUとEーBPUは従来のHEPTと比較して、抗ウイルス活性がそれぞれ約300倍、及び約1300倍増強しており、毒性に対する活性の比を示す選択的治療係数は両者ともに6000を越えた。また我々はこれらの薬剤の作用機序の検討を行い、これらはHIVー1の逆転写酵素に作用しその活性を阻害する事が判明した。しかし同時に、AZT等とは明らかに異なる様式で逆転写酵素を阻害し、従って現在臨床的に問題となっているAZTに耐性のウイルスにも有効である事がわかった。以上の事より、これらの薬剤は現在までに知られている抗AIDS剤とは異なった。新しいカテゴリ-に属するものとして、その内容を「米国立科学アカデミ-誌」に報告するとともに、現在さらに臨床応用が可能かどうか等、更にその詳細を検討中である。
|