研究課題/領域番号 |
02235214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高橋 秀実 日本医科大学, 医学部, 講師 (40221361)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1990年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | AIDS / ワクチン(サブユニット) / 特異的細胞障害性T細胞 / CTL / gp160 / ISCOM / HIV |
研究概要 |
これまで種々のウイルス感染に対しワクチンの接種が試みられ効果を上げてきたが、そこで使用されてきたのは、生ワクチンにせよ不活化ワクチンにせよウィルスそのものを用いたものであった。しかしながら、血友病患者の間に於て凍結乾燥した血液製剤を介しAIDSが多発したことより、たとえ不活化させたにせよHIVウイルスそのものをワクチンとして人体に応用してゆくのは大変危険であると考えられる。一方、HIVは細胞表面上のCD4分子を介してひとたび細胞内に侵入すると、細胞外の中和抗体と接触することなく細胞融合を通じて細胞から細胞へと伝播してゆくため、感染防御の面からは、中和抗体のみならず感染細胞を直接に障害しその中に潜むウイルスを排除するようなウイルス特異的細胞障害性T細胞(キラ-T細胞:CTL)をも誘導しうるワクチンを開発してゆく必要がある。以上のことから、HIVの構成成分の中で最も抗原性の強いエンヴェロ-プ蛋白(gp160)を用いたサブユニットワクチンの検討を進めてきた。ところが、一般にウイルスの一部分であるgp160の様な非生命体を単独で用いた場合には、ウイルス特異的な中和抗体を誘発することはできてもCTLを誘導することはできないとされていたことがわかったきた。そこで、gp160抗原に対し抗体並びにCTLを誘導しうる免疫系を有することがこれまでの研究により判明したBALB/cマウスに種々のアジュバントと共にこのgp160を免疫し調べたところ、サポニン系のグリコシドを基に作成されたQuill Aというアジュバントでこのgp160を取り囲むようにして作成されたISCOMーgp160(ISCOM:Immunostimulating Complex)を使用した際に、皮下にわずか一回投与するだけで少なくとも4カ月の間抗体と共にクラスI MHC分子に拘束されたCD8陽性なCTLを誘導することに成功した。現在、その毒性並びに更に効率の良い安全なワクチンの開発を検討中である。
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