研究概要 |
細菌における染色体分配の分子機構を明らかにするため、我々は今までに染色体分配機構の変異株(muk)を多数分離し、その変異を相補する遺伝子を単離し解析を行なってきた。mukA遺伝子(66分)を含む5,486bpのDNA断片の塩基配列を決定した。塩基配列よりmukA変異はシグナルペプチドを持つ外膜蛋白をコ-ドするtolC遺伝子であることが明らかになった。またDNA断片中にはmukA遺伝子の他に5つのORFが存在し、そのうちのORF5はparE遺伝子(新しいトポイソメラ-ゼIVのサブユニットをコ-ド)であることを発見した。またORF3(gumAと命名予定)はホスホエノ-ルピルビン酸依存性ホスホトランスフェラ-ゼ系(PTS)に必須な新しい遺伝子であることを発見した。一方、mukB変異(21分)を相補する5.353bpのDNA断片の塩基配列を決定し、mukB遺伝子は177kDaの大きな蛋白をコ-ドすることを明らかにした。コンピュ-タ-解析の結果は、MukB蛋白は異なる5つのドメイン構造を持ち、駆動力発生酵素(forceーgenarating enzyme)であることを示唆している。 この研究で塩基配列を決定したDNA断片を次に記す。 1.BamHI(3229.50)ーPvuII(3235.10).5,486bp.muKA(tolC),ORF1,ORF2,ORF3(gumAと命名予定),ORF4,ORF5(parEの前半)を含む。 2.Sau3AIーBamHI(993.85).5,353bp.mukBを含む。カッコ内は物理地図(Medigue etal.,Molec.Microbiol.4:169ー187,1990).
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