研究課題/領域番号 |
02239202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50111505)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | クロスブリッジ / 重メロミオシン / ヌクレオタイド / アクチン / コンフォメ-ション変化 / 急速凍結法 / マイカ細片法 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
筆者は、筋収縮における『滑り運動の分子機構』を合理的に説明するための仮説『クロスブリッジ首振り説』の真偽を検証するため種々の条件下でのクロスブリッジの形態を直接観察することを目標としている。溶液中で機能を発揮しつつある個々の分子の立体像が高い空間および時間分解能で得られる新しい電子顕微鏡法(マイカ細片急速凍結レプリカ法)を用いて、ミオシン頭部サグフラグメントー1(S1)とFーアクチンとの複合体に種々のヌクレオタイドを加えたときのFーアクチン結合S1の形態変化を探った。その結果、硬直結合体においてはS1は細長くアクチンの軸と60°ほど傾いて結合しているがATPを加えることにより短く丸まって見えることを見いだした。次に同じ方法によりFーアクチンと混合したHMM(重メロミオシン)の形態を観察した。ヌクレオタイドがないときには明瞭な矢尻構造が観察されたが、背景に見られるアクチン非結合HMMの頭部は従来から知られているような洋梨状をしており、ADPを加えるとS1ーS2連結部近くが細く見えた。ADPと同時に無機バナジン酸(Vi)を加えてATP分解経路中間体の長寿命アナログHMMーADP・Viを形成させた場合にはほとんどすべてのHMMの頭部は分子中央で大きく曲がりしかもその屈曲方向はすべて一定であった。HMMにATPを加えたときにも同様の形態変化が見られた。一方、化学架橋したFーアクチンーS1のネガティブ染色像を詳しく観察すると、ATPを加えない場合にはアクチンに架橋されたS1は細長くアクチンの軸と約60°傾いて結合しており分子内に3個のドメイン構造が認められた。ATPを加えると多くのS1が短くなり、良く観察すると実は分子内で強く折れ曲がっていることが判明した。同一アクチンフィラメントに結合しているS1ではその屈曲方向も共通であった。以上の結果は、クロスブリッジ(ミオシン頭部)にATPが結合することにより分子が強く折れ曲がることを示す。
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