研究課題/領域番号 |
02239207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
郷 信広 京都大学, 理学部, 教授 (50011549)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 立体構造 / ダイナミックス / シミュレ-ション / 状態遷移 / ミオシン |
研究概要 |
ミオシン分子は、ATP1分子を分解して得られるエネルギ-を分子内に蓄え、それを徐々に放出することによりアクチン繊維上を滑り運動する。1分子内にいかしてエネルギ-を蓄え、いかにして徐々に運動エネルギ-に変換し得るのか。これが滑り運動の最も基本的な問題と捉える。この問題に対する解答の鍵は、蛋白質分子の立体構造のダイナミックスにあると考える。運動は分子の位置の変化であり、それを分子自身が引き起こすためには、分子の形の変形が関与していると考えるのが自然であろう。立体構造のダイナミックスを考えた理由はそこにある。 以上の観点から蛋白質分子の立体構造の運動を計算機シミュレ-ションの手法を用いて研究した。その結果、通常の蛋白質の動的立体構造には、一見矛盾する2つの側面があることがわかった。第一は、基準振動解析によっていろいろな性質が説明し得る調和的あるいは固体的側面である。この側面は運動を支配しているポテンシャル曲面が多次元放物面で表わされるときに見られる。第二は、非調和的あるいは液体的側面で、典型的には通常の蛋白質分子を200K以下に冷やしたときに個々の分子が微視的には異なる準安定状態に凍結してしまうことに現われる。通常の液体は急冷によって準安定なガラス状態に凍結する。これとの類似で液体的側面という。ミオシン分子の場合、ガラス転移温度が室温より上にあると考えると、エネルギ-のきわめて遅い緩和が説明できそうである。この観点を検証するにはどの様な実験をデザインしたら良いかを今後考えていく計画である。
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