研究課題/領域番号 |
02239210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
保住 哲 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10080102)
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研究分担者 |
桑江 彰夫 名古屋市立大学, 教養部, 助教授 (30117816)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 筋収縮 / ミオシン / アクチン / ラマンスペクトル / 蛋白質二次構造 |
研究概要 |
筋収縮の本質アクチン、ミオシンそしてATPの相互作用によるものであることはよく知られている。最近Gーアクチンを二価性化学修飾試薬(mーマレイミドベンゾイル)ーNーヒドロキシサクシニミド エステルでマレイミドベンゾイル化(MBSーアクチン)すると、その重合性は失われてしまうが、ミオシン(Sー1)との結合能は保存されるという報告がなされた。我々は昨年来アクチン、ミオシンのラマンスペクトルによ構造解析を行ってきたが、本年度はMGSーアクチンを用いて、アクチンとSー1との相互作用によりそれぞれの構造がどのように変化するのかをラマンスペクトルによ解析を行った。 MBSーアクチンのラマンスペクトルから MBSーアクチンではβーsheetまたはrandom coilを示すバンドの強度がnormal Gーアクチンの場合と比べて弱く、このことから、αーhelixが増加し、より構造化したと考えられる。この領域はFーアクチンとGーアクチンとの間でスペクトルの差が無い。それ故Gーアクチンは重合しても高次構造の変化はないと思われるが、重合しないMBSーアクチンの場合はそれ自体の構造が変化しているらしい。この事及びMBSーアクチンがnormal Gーアクチンと同じくSー1と結合できることを考えると、高次構造の変化は主として重合に関与する部位で起きており、Sー1と結合する部位では起きていないと思われる。この推れる。この推測が正しいものなら、Sー1と結合する部位はαーhelixの多い部分であり、重合に関与する部位はβまたはγーcoilの多い部分であるのかもしれない。またVal,Leu残基はMBSーアクチンにおいてGーアクチンより表面に出ている可能性がある。逆に重合すれば内に包み込まれる傾向にあるらしい。つまり重合すれば内に入り安定化するがMBSーアクチンで外に出ていて重合しにくくなっているのではないか。 Sー1ーMBSーアクチンのラマンスペクトル(Sー1及びMBSーアクチンのスペクトルと比較する) Sー1及びMBSーアクチン両方のスペクトルにαーhelixのCC伸縮振動に相当する弱いbandが認められるが、これがかなり大きくなっている。この理由はアクチンの方のhelix化がSー1に結合することにより進むのではないだろうか。一方Sー1のαーhelixを示すと言われている1264cm^<ー1>bandがSー1のみのスペクトルと比較すると極めて小さくなっている。それ故SーlはMBSーアクチンと結合することによりαーhelixの占める割合が減少し、βまたはγーcoilが増大している可能性がある。また先に述べたように940cm^<ー1>bandは大きくなるのでアクチンの方のhelixが増大し、それがこのbandに反映していると考えられる。
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