研究課題/領域番号 |
02241216
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
金子 章道 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00051491)
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研究分担者 |
倉橋 隆 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (90225251)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1990年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 網膜 / シナプス / アセチルコリン / 神経節細胞 / アマクリン細胞 / ネコ |
研究概要 |
脊椎動物網膜の視細胞や双極細胞は光刺激に対し持続的な応答を示すが、アマクリン細胞や神経節細胞の多くは一過性の応答を示す。網膜の重要な機能の一つである「動き」の検出には、いわゆる「応答の時間微分」が必要である。こうした応答のダイナミックスを変換するメカニズムの一つに伝達物質に対するシナプス後細胞の脱感作が考えられる。アセチルコリンは動きの受容に関与しているといわれているので、ネコ網膜神経節細胞に対するアセチルコリンの作用を検討した。前もって外側膝状体あるいは上丘に蛍光色素を注入して逆行性にラベルした神経節細胞を単離し、パッチクランプ法を適用して応答を記録した。アセチルコリンは全ての神経節細胞に一過性の内向き電流応答を引き起こした。最低有効濃度は10^<ー6>Mであった。この内向き電流はアセチルコリンに特異的で、カルバミルコリンには応答しなかった。外液にカルシウムイオンの存在を要求し、またナトリウムイオンを必要としリチウムでは置換出来なかった。応答の電圧依存性がきわれて強く、顕著な内向き整流を示し、外向きにはほとんど流れなかった。ナトリウムイオンの濃度を変化させると逆転電位が変化するよりもむしろ応答振幅が減少した。このように、神経節細胞のアセチルコリンに対する応答はアゴニストがチャネルの開閉を制御する電流というよりも、起電性のキャリアの働きによってアセルコリンをナトリウムイオンと共に取り込んだ結果発生した電流であると考えられる。しかし、取り込みであるならば持続性であるほうがより効率が高いと思われるので、なぜ脱感作が強く一過性の応答となるのか理解に苦しむところである。しかし、いずれにせよアセチルコリンは神経節細胞に一過性の脱分極を引き起こし、動きの受容の基礎過程として機能しているものと考えられる。
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