研究概要 |
本研究の成果は大きく三つに分けられる. 第一は,ミニ・マックス間題及びミニ・サム問題において,集計単位と立地誤差及び費用誤差との関係を明らかにした.特に,両誤差ともに集計単位の二乗に比例することが分かった.メッシュ・デ-タは不確実性を伴っているわけで,メッシュ・デ-タで得られる結論は,その精度を併せて示すことで意味を持つ.本研究では,メッシュ・デ-タを用いたミニ・マックス問題及びミニ・サム問題での誤差を理論的に抑えた. 第二は,ミニ・マックス問題がミニ・サム問題より集計化に対して安定していることを明らかにした.したがって,現実の問題として頻繁に解かれるミニ・サム問題の場合,ミニ・マックス問題の場合と同じ精度を得るためには,より小さな集計単位を用いなければならない. 第三は,ミニ・マックス問題及びミニ・サム問題において,立地誤差と費用誤差とが逆のパタ-ンを示すことを導いた.各々の問題において立地誤差が最大を達成する場合,またそのときに限り,費用誤差が最小となる.逆に,立地誤差が最小を達成する場合,またそのときに限り,費用誤差が最大となる. 今年度は以上の理論的結果の導出の他に,計算機による数値実験,さらにはジョインなどの空間的相関係数への応用,さらに熊本市の調査区デ-タの整備などを試み,また他の研究者との討論を行った.このもとにより,理論値の振舞いを視覚的に把握でき,また別な角度からモデルを見ることができた,研究の精致化及び発展が可能となった。
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