国土数値情報中の標高デ-タ(1km×1km)を利用して、接峰面メッシュマップを作成し(原地形の復元)、この接峰面メッシュマップ上で水系網のランダムウォ-ク型シミュレ-ションを行ない、確率的な水系網を形成し(原地形に発達しやすい水系・河谷の復元)、流域や水系・河谷の変遷(環境変化)について考察した。 また、国土数値情報を使って接峰面や水系網を作成することはデ-タ量や計算量が多いことからコンピュ-タ処理が必要となる。そのため、目的に沿った機器の整備(32ビットパソコン・MOディスクの使用)やデ-タ処理手法・必要なプログラムの開発などを行なった。 開発したプログラムの概要は以下のようである。 (1)大容量の国土数値情報中からパソコンの計算量・グラフィック処理能力に見合った部分範囲を抽出する。 (2)国土数値情報の統合メッシュ数を変えた数種の接峰面や関連する各種地形計測図(接谷面、起伏量、地性線)を作成し、グラフィック表示する(数値地図の作成とデ-タの保存)。 (3)モデル流域での水系網の形成から、水流の次数化、流域区分、水流や流域の地形計測までをコンピュ-タ上で自動的に行なう。 (4)指定された統合メッシュ数の接峰面から傾斜方向や勾配を求め、これをデ-タとして偏向性を持たせたランダムウォ-ク型の水系網シミュレ-ションを行なう。 これらによって形成された中・四国地方の水系網(統合メッシュ数5、約1.4kmメッシュ)は現在の多くの主要な河川の水系網とほぼ一致している。しかし、岡山3川(吉井川・旭川・高梁川)や四万十川は現水系とかなりかけ離れている。これらの河川の特徴は、流域に広い盆地を抱えることで、水系網の発達に傾斜の緩やかな内陸盆地の存在が影響していると考えられる。
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