研究概要 |
乾燥地アルカリ土壌,とりわけ石灰(CaCO_3)集積土壌において,植物の顕著な生育制限要因である「欽欠乏」に対し,示本科植物が持つ主要な「欽欠乏耐性因子」である,ムギネ酸類の合成分泌能について,その機作を解明すべく研究を行ってきた。 (1)本年は,ここ4年間に恒る研究の成果として,世界に駆けて,メチオニン→Sーアデノシルメチオニン→ニコチアナミン→デオキシムギネ酸→ムギネ酸→エピハイドロキシムギネ酸(又はハイドロキシムギネ酸に至る生合成経路を明らかにすることができた。 現在,Sーアデノシルメチオニン→ニコチアナミンを司る酸素およびニコチアナミン→デオキシムギネ酸を司する酵素を單離精製している。 (2)また,以上の研究と平行して,Fe欠乏時に時異的に発現する,遺伝子をFe欠乏mRNAから作成したcDNAと,Fe処理mRNAから作成したcDNAの,デファレンシャルハイブリダイゼ-ション法でスクリ-ニングし,数種のクロ-ンを單離した。現在これらの塩基配列と,鉄欠乏特異的発現性について検討している。 (3)また,Fe欠乏時に大麦根に特異的に発現する,蛋白質を二次元電気泳動上で單離精製した。この蛋白はN末端がブロックされていたので,クリ-ブランド法(V8酵素使用)を用いてフラグメントに分解し,各ペプチド断片のN末のアミノ酸配列数残査を決めた。現在この配列に相同する合成DNAを用いてcDNAライブラリ-からクロ-ニングを行っている。 将来はFe欠乏耐性遺伝子を導入した・トランスジェニック作物を育成するつもりである。
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