研究概要 |
本研究は,高度に発達しつつある技術社会のなかにおいて,テレビ・ビデオ・パソコン通信・伝言ダイヤルなどの情報メディアとの接触のあり方が,若者の価値観や生活意識の変化ーとりわけ対人意識の変容ーとどのように結びついているのかを実証的・理論的に明らかにすることを,目的としている。 平成2年7月,首都圏ならびに関西圏の大学4年生全体(約24万人)の名簿をもとに無作為に抽出された1万人を対象に,約300項目からなる質問紙調査を郵送法によって実施し,1548人(男1000人,女548人)のサンプルの回答を得た。 つぎに複雑な環境に抗して自己像を維持するための入格システムのモデルを構築し,それに基づいて因子分析(18変数・主成分法8因子・バリマックス回転)×クラスタ-分析(k means法)によって,サンプルを5つの人格類型に区分した上で,メディア接触を中心とした諸質問とのクロス集計を取り,人格類型ごとのメディア接触状況の差異を把握した。 統計分析と並行して,若者の情報メディアへの接触の分化的な背景を理解するために,少女マンガ・音楽・電話(テレクラやダイヤルQ2)などに関する各種の取材を行い,さらにそれらのメディアを通じて享受される意味世界(〈世界〉)の内容分析を行った。 デ-タ分析・解釈,メディア取材,メディア〈世界〉の内容分析の作業は,現在も進行中であり,来年度(本研究最終年度)も継続される予定である。
|