研究概要 |
当研究班では7回の研究集会を開いて共同研究を行って来た.取り上げた主なテ-マは次のとおりである. (1)都市の自立についてー筑波研究学園都市の歴史的発展を例として;(2)平面領域の距離分布についてー「都市の設計論」の試み;(3)物資情報流動構造のエントロピ-モデル分析ー関西圏における通話デ-タにもとづく分析例;(4)ネットワ-ク問題の連続体近似ー大規模な道路網における最短路問題,最小費用流問題等の効率的解法;(5)道路距離と直線距離についてー道路距離のユ-クリッド距離による近似の精度;(6)橋の適正配置について;(7)地域間の結びつきやすさに着目した道路網の分析;(8)道路網ネットワ-ク構造における道路セグメントの重要度評価方法;(9)信号機の密度に注目した道路網分析;(10)混合交通流の分析計画 研究は初年度であるので,いずれのテ-マも完結したわけではなく,次年度以降継続して研究を深化させていく予定である.本報告書では,一例として,テ-マ(8)に関する研究成果の一端を以下に紹介する. 対象とする道路網に対して,道路の交差する地点(交差点)あるいは末端の地点をネットワ-クの頂点とし,隣接する交差点あるいは末端点と交差点とを結ぶ道路を枝とするネットワ-ク構造を考える.さらに,各交差点間の長さ(距離または通過に要する時間)が与えられているとする.このとき,隣接する交差点間の道路セグメント(枝)それぞれに対して,ネットワ-ク構造における"重要度"あるいは"貢献度"を定量的に評価するために,最短路問題に基づく手法を考案した. これを東京都心部の主要道路と甲府市の道路網に適用して,その有効性を確認した.
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