研究課題/領域番号 |
02245103
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 正 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029442)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | 分子内電子移動ダイナミックス / 溶媒配向緩和 / 9,9'ービアントリルの構造変化 / 動的ホ-ルバ-ニング |
研究概要 |
(1)9,9'ービアントリル(BA)の構造変化と電荷分離過程:BAは基底状態では2つのアントラン間の相互作用はなく、互に直交した構造であるが励起状態では少しねじれた構造が安定となる。励起状態における構造変化に要する時間を時間分解レ-ザ-分光法により直接実測した。測定結果は溶媒の粘度への依存性が極めて少く、通常考えられている粘度の逆数に対する依存性は観測されなかった。この結果は、余剰振動エネルギ-を持った状態からの緩和過程として解析する必要があると考えられる。更に、極性溶媒中における電荷分離過程は、上に述べた分子内構造変化と競合していることを時間分割吸収スペクトルの測定により確認した。 (2)分子内ドナ-(D)、アクセプタ-(A)化合物の光誘起電子移動過程と溶媒和過程:電子移動に関するDーA間相互作用の弱い場合からかなり強い場合まで種々の分子内DーA化合物の励起状態における電子移動速度の時間依存性を正確に調べた。励起状態で完全な一電子移動する系においても、電子移動速度が時間とともに変化することを種々の溶媒中で見出した。この結果は、溶媒を連続誘電体として取り扱うモデルでは説明できず、ミクロな溶媒和状態が不均一であり、配向緩和時間が溶質からの距離或は溶媒和状態の分布に依存して変化していると考える必要がある。一方、電子移動により生成したイオン対状態の溶媒和過程は、現在のところ通常の誘電縦緩和時間に支配されている結果を得た。 (3)動的ホ-ルバ-ニングスペクトルの測定による溶媒の配向緩和過程:アルコ-ル溶媒中のレ-ザ-色素の過渡スペクトルの測定により、基底状態と励起状態における非平衡分布の緩和過程を直接観測した。溶質の大きな構造変化を含まない単純な系における溶媒の不均一分布の緩和過程は、通常の配位座標上の緩和として定性的に説明することができた。
|