研究概要 |
本研究では、簡単な反応拡散モデルに基づいて,核一マントル境界でのプリュ-ムの発生機構や内核成長に関連した周期的あるいは準周期的変動の物理機構について研究した。対象としたモデルは,二成分系溶液の固化反応で,熱と物質についての二つの反応拡散方程式から構成される。反応は、核形成と成長によって進行し,反応速度は,温度に対して指数関数的な依存性を持つ。数値実験に基づくと,反応の進行は,時間的に準周期的に進行し空間的に層状構造を作る。数値モデルの結果を参考にすると,縞のできる条件は次ぎのようになる。1.対流が起こらないような状態にある。対流が起こるか起こらないかは、Reighlay数によって決まる。そこで次のような場合が考えられる。(1)温度差が小さい。(2)スケ-ルが小さい。(3)粘性が小さい。(4)重力加速度が小さい。さらに次の条件も必要となる。2指数関数的な反応速度を持つ。内核の成長の初期段階では、これらの条件が満足されていると考えられるので、現在の内核には、その成長過程で出来た、結晶の粒子密度や平均粒径及び結晶相の割合いの変化の縞が,中心部から外側に向って一定の割合いで広がりながらある程度まで続いていると考えられる。核一マントル境界から発生するプリュ-ムは、シュ-バ-トらの数値実験によると、ソリトンの分裂と見なせる。この周期的なプリュ-ムの発生過程では、粘性率の指数関数的な温度依存性が重要になる。プリュ-ム発生における物質輸送と多成分系メルトの冷却における反応の効率の類似性に注目すれば,時間的空間的に(準)周期的な変動を作る機構には,場の変化に対して指数関数的に応答するという非線形性に共通点がある。
|