研究概要 |
ビスチオアシル スルフィド類は分子内に硫黄で結ばれた2個のチオカルボニル基を有しており,酸化によっり高原子価硫黄のスルフィンもしくはスルホンを2個以上もったビススルフィン スルフィドまたはビズスルホンスルフィドの合成が可能になると考えられる。またそれらの構造及び反応性の解明は重要である。本研究ではビスチオアシル スルフィド類の簡便な合成法の確立とそれらの酸化(過酸化水素とメタクロロ過安息香酸(mーCPBAと略す)によるビススルフィン スルフィドの合成を検討した。 結果:ビスチオアシル スルフィドはジチオカルボン酸ピペリジニウム塩と2ークロロー1ーメチルピリジニウム塩との反応から容易に合成できる方法を見い出した。ビスチオアシル スルフィドを過酸化水素で酸化するとジアシル ジスルフィドをほゞ定量的に生成する。しかしmーCPBAでの酸化はアシル チオアシル ジスルフィドとアシルスルフィン スルフィドを生成することを見い出した。立体的にかさ高いビス(2,4,6ートリメチルベンゼンチオイル)スルティドEmーCPBAで酸化するとチオアシル スルフィン スルフィドと目的のビススルフィン スルフイドが合成・単離できることを見い出した。ビススルフィン スルフィドは淡黄色の結晶で酵素,水に対して安定である。現有この結晶についてX線についてX線構造解析を行なっている。 ビスチオアシル ジスルフィドのmCPBA酸化からは対応するビススルフィン ジスルフィドが40〜70%の好収率で単離できることを見い出した。さらにチオアシル スルフィン ジスルフィドも生成・単離できることを見い出した。これら生成物のスペクトルによる構造解析を進めており,当年度の目的は十分達成できたものと考えている。
|